Franz Ferdinand/Franz Ferdinand

Franz Ferdinand

Franz Ferdinand

ちょっと前に出たニューアルバム、を最近買ったのでその前に今さらですがFranz Ferdinandの1stについて。
彼らの音を初めて聞いたのはMTVで流れてた「Take me out」のPVでだったんだけど、その時は80年代ニューウェーヴリバイバルのイギリス版って感じかなという印象と、いかにもアートスクール出身なそのPVにちょっと身構えてしまった。
私のこのアルバムに対する感想は、既視感ならぬ既聴感の嵐といった感じが一番正直な感想だ。でも、だからといってオリジナリティがないといいたい訳ではない。ちょっとした「懐かしさ」のようなものを含む楽曲っていうのは得てしてキャッチーなものだし、その点で彼らの作り出す音はとても上手く、耳に馴染むよう構築されている。
つい踊りだしたくなるような、身体に訴えかけるビートとでも言えばいいんだろうか。とにかく聴いていて楽しい音楽であることは確かで、特に全ての曲における、イントロの「掴み」は素晴らしいと思う。
これは私の勝手な考えだけども、彼らはアーティストというよりはデザイナーなんだと思う。「売れる」ために「のれる」音楽を作ろうというストイックさを感じる。何を表現したいかということよりも先に、リスナーを楽しませようとするサービス精神があるからこそ、数多ある新人バンドの中で傑出した存在にのし上がってきたのではないだろうか。
そして、もう1つ、Franz Ferdinandの特徴的な点として挙げられるのが「イギリス的である」ということ。UKポップという言葉も最近はあまり耳にしなくなった(と思う)けども、彼らの音は一聴してすぐにわかる、イギリス臭さがある。たぶん、そう感じる理由はヴォーカルの印象によるところが大きくて、PULPのジャ−ヴィス・コッカーとかディヴァイン・コメディのニール・ハノンとかを彷佛とさせるドラマチックな歌い方。それなのに、生々しさのない均一なテンションには、思わず「クール」って言葉を使いたくなってしまう。
とにかく全てが上手く出来ていて、だからこそ、これは彼らの創造した「ポップ・バンド」という作品なんだなーとか思ってしまったりもする。まあ、その辺りに自分の屈折した部分を痛感したりもするんだけど、それでも、やっぱり聴いていて楽しい音なんだこれが。(だから武道館はどうかと思う。踊りにくいし。)
ともかく、このアルバムを聴いていると、私が学生時代に「UKロック」に大騒ぎした後60年代ロックへ傾倒していったように、そもそもニューウェーブ自体がとっくの昔にリバイバルするジャンルの1つになってしまったんだということなんだろうなってのを改めて感じる。というかやっとリアルに感じたような気がするのはたぶん、彼らがニューウェーブ支持者以外にもばっちり訴えかけられるポップさを持っているからなんだと思う。
イントロ10秒が最高だと思う曲は#4(オーシャンカラーシーンのなんかのイントロをちょっと思いだす)#6#7#8#11#12#13で、これをイントロだけ繋げてみたら自分のツボがよくわかった気がした。
【追記】よく見たら12曲目からは日本版(asin:B0002CHQE4)ボーナストラックだった。