アフタヌーン四季賞CHRONICLE/冬の巻&まとめ

ラストです。

1997年

林田球/「ソファーちゃん」
ドロヘドロ」が面白すぎる林田さんのデビュー作。まだコミックスなどには収録されていない作品で、今回のお目当ての一つ。ソファーに宿る妖怪のお話。ストーリーはファンタジーなんだけど、やはり絵柄が独特です。身体感覚に訴えかける漫画。インタビューで「「女の子の目の回りに何も描くな」といわれた」とあってちょっとおかしかった。いっぱいかいてあります。これはこれで良い。
木村紺/「神戸在住
今とそのまんま繋がっている「神戸在住」第1話。でもインタビュー読むとコミックスには収録されてないっぽい?コミックで読んでないからちょっとわからないです。辰木さんは『ジョナサンと宇宙クジラロバート・F・ヤングを読んだりしてます。私の好きなキャラクター和歌子ちゃんとリンハオもでてきます。

1998年

篠房六郎/「やさしいこどものつくりかた」
篠房六郎短編集〜こども生物兵器〜」という短編集に収録されてます。今とかわらず猛烈に上手い。けど今よりはもうちょっと、遠藤浩輝さんぽい表情。でも何より1997年の時点でメイド漫画というのがすごい。しかも戦うメイド。ここで出てくるジュペレン公はスタージョンの「人間以上」に出てくるキュー氏(エヴェリンとアリシアの父親)に似ている。
ひぐちアサ/「ゆくところ」
「家族のそれから」に収録されています。ひぐちアーサー名義。ひぐちアサさんが一貫して劣等感とそこからの解放を目指してもがく様を描こうとしていることはよくわかる。感情の浮き沈みが感触としてリアルに伝わってくる。もーう。似てるわけじゃないけど、吉田修一さんの「最後の息子」を思いだしたりした。
真鍋昌平/「憂鬱滑り台」
面白い。強盗が失敗して追いつめられて行く、相棒もの、と言っていいのかな?よくある話といえばそうなんだけど、明暗のつけかたがうまくて、陰鬱な画と開放感を感じさせるシーンとの落差が印象に残る。パク・チャヌクっぽいです。たぶんコミックスにはまだ入っていないけどそのうち短編集とか出たらちゃんと収録されそう。
漆原友紀/「蟲師
第1巻に「瞼の光」と改題されて収録されています。蟲師の中でも好きな話のひとつであり、ギンコの過去を伺わせるお話。あの光の河のことは今でも時々考える。

1999年

熊倉隆敏/「グラデ」
義肢愛好家が増えた世の中を舞台に親から愛されることを願う女の子のお話。「もっけ」とは随分雰囲気が違うような気もするけど、話が丁寧なのと女の子の描き方に良心を感じるところが熊倉さんぽい。でも本誌にも掲載されてないっぽいので初公開なのかな?インタビューをよむとそれっぽいことが書いてあるんだけど。

2002年

とよ田みのる/「ラブロマ
第1話と第2話。これ最初読んだ時に新人賞だって気付かなかったのを覚えてます。ふつうに新連載かと思った。

アフタヌーン四季賞CHRONICLEまとめ

結構高い買い物だったんですが、買ってよかったなと思います。まあ、こんなにしつこく感想書いたのは半分もととるような気持ちですけど。

これまでの感想はコチラ↓

とりあえず四季賞はレベルが高いなーと実感した。それでも上の1999年から2002年までの空白は寂しいです。個人的には1993年と1995年と1998年の大豊作っぷりが印象に残りました。
それからインタビュー集も面白かったです。でも掲載号と単行本に収録されてるものはその旨もちゃんと明記してほしかった。あとその後連載になったとかそういうこともインタビューの中だけじゃなくて、ちゃんとリストにしてほしかったなぁ。