Keeping Thimgs Whole

去年の2月から(id:ichinics:20050215:p1)ずっと探していた詩が、ようやく思い出せた。

「物事を崩さぬために」

野原の中で
僕のぶんだけ
野原が欠けている
いつだって
そうなんだ。
どこにいても
僕はその欠けた部分


歩いていると
僕は空気を分かつのだけれど
いつも決まって
空気がさっと動いて
僕がそれまでいた空間を
塞いでいく。


僕らはみんな動くための
理由をもっているけど
僕が動くのは
物事を崩さぬため。

村上春樹が訳していた、マーク・ストランド「犬の人生」のあとがきに引用されていた詩だ。そしてこの詩をレイモンド・カーヴァーに重ねて、村上春樹はこう書いていた。

この部屋の中にも、この世界のどこにももう、彼の作り出す欠落はない。この先二度とそれが生まれることもない。(略)しかし僕らは彼の作りだしたそれらの欠落を、今でもはっきりと記憶しているし、それらはこれからも多くの人々によって記憶され続けることだろう。何故なら、それらの欠落は、僕らの作り出す欠落を、それらにしかできないやり方で癒してくれるからだ。(p210)

とても個人的なことだけれど、先日、私はとても大切なものをなくしてしまった。
それは何にもかえられないものだった。ということにずっと気が付いていなかったことによって、私はそれをなくしてしまったんだった。
大げさに聞こえるかもしれないけど、人生には、絶対に逃してはならないタイミングっていうものがあって、それは、二度とかえってこないものだったりする。
そんなことを痛感させられました。
でも私は、それが無いということを、きっとずっと忘れないと思う。
だから、落ち込むのは今日でおしまい。