待望のサードアルバムは、一聴してもう、新しい展開に突入してることがわかるものだった。ブレイクビーツを基調としている点は2ndの延長線上にあるんだけど、印象はプログレ。それはインストが二曲あることからも(これがまたすごい)、意識的なものなんじゃないかと思います。ツェッペリンはもちろんなんだけど、むしろSOFT MACHINEを彷佛とさせる音色、つまりフュージョンに行く手前ぎりぎりのジャズ・ロック。でもアプローチはZEP。というかもう、他の音楽と比べる必要がなんてないよな。ただ格好良い。そして感情的だ。
このアルバムからイメージする色は黒。そして新しく繰り返されるキーワードは「深夜2.5時」及び都会の、深夜の感覚。ただ、その言葉は感情を説明するというよりは、状況の断片の羅列みたいに分解されてて、その中心の空虚さみたいなものが、息苦しいんだけども、格好良い。それがすなわち、向井さんが体現しようとしている、冷凍都市の暮らし、なんだろうな。
1st、2ndがぎゅうぎゅうに詰まった音の粒のせめぎ合いだとしたら、この3rdは引き算のビートだと思う。もちろん、せめぎ合いはザゼンの特色でもあり、それも失われてはいないんだけど、松下敦(柔道二段)という新しいリズムを得たからこそ、出来上がった音なんだろうなと思うものがいくつかあった。音数は多くなくても、低く響いて弾ける。そして、ベースがほぼ全般に渡って即興のような展開を続けるのもすごい。そしてギターはもちろんのこと。
「RIFF MAN」「This is NORANEKO」「Don't Beat」あたりが第一印象では気に入りました。
でも、ザゼンのアルバムは聴きこむうちに浮かび上がってくる曲が多い(←ここ重要だと思う)ので、まだまだこれからだと思います。
- アーティスト: ZAZEN BOYS,向井秀徳
- 出版社/メーカー: MATSURI STUDIO
- 発売日: 2006/01/18
- メディア: CD
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