blemish/David Sylvian

JAPANはほとんど聞いたことがないのだけど、そのヴォーカリストであったデヴィッド・シルヴィアンの声が、私はとても好きです。雨の日のビロードみたいな声。その声をじっくりと聴きたいときに、一番いいのがこのアルバムだと思う。

ブレミッシュ

ブレミッシュ

デヴィッド・シルヴィアンはJAPAN解散後も活発に活動しているアーティストであり、最近(でもないけど)では、アニメ版「MONSTER」のエンディングテーマを歌ってたりもしました。試行錯誤と実験を繰り返すかのようなその音楽活動は、衝動というよりは冷静な判断によって選択を続けているという印象はあるものの、カテゴライズするのは難しい。たとえば坂本龍一アート・リンゼイブライアン・イーノらとの関わりから彼の傾向を見ることもできるだろうけど、まあ、カテゴリーなんてのは店でCDを陳列する際にのみ考えれば良いことだ。
とにかくデヴィッド・シルヴィアンの武器はなんといってもその声にある。どんなトラックにのせようとも、その声があるだけで、包括される世界がある。
「blemish」での極めてミニマルな楽曲は、アルバム単位で聴くと、色合いの変化に乏しいようにも思うけど、例えばi-podをランダムで聴いているときに、不意にこのアルバムからの楽曲がながれると、どきっとするあの感じ。無機と有機、モノクロとカラーのような相反する情景の鮮烈さとでも言えばいいんだろうか。
同系色でまとめられたアルバムを聴きたい時は、一つ前の「Dead Bees On A Cake」を。

ちなみに、このアルバムには、昨年亡くなったギタリスト、デレク・ベイリーとのセッションがいくつか収録されています。そのうちの一曲#7から#8への流れがこのアルバムの白眉であるように思う。