再会する音と耳の意志

i-podやを使いはじめた頃はアルバムごとに聞く方が多かったのだけど、最近はフォルダをつくるか、シャッフルで聞くのがほとんど。そしてそれが気に入ってからは、i-tunes上にある音も、だいたいシャッフルで流している。
考えてみれば、今まで自分のもっているレコードの全ての曲からランダムで曲を流す装置なんてのはなかったわけで、するとシャッフルの良さっていうのは、知っている曲に、改めて曲に出会うチャンスをくれることなのかもしれない。あれ、これ何だろうって思って、改めてタイトルを見て、こんな良い曲あったっけ、って思う。
それは昔に比べて1枚のアルバムを丁寧に聴くということが少なくなったからなのかもしれないけど、偶然の力を借りて出会いをやり直した曲というのは、不思議とその後も長くつきあえる存在になったりすることが多かったりもして。

今日の再会はThe Postal Serviceの『GIve up』国内盤ボーナストラックに収録されている「There's Never Enough Time」。もともと好きなアルバムだったけど、この曲を取り出して聴くと、アルバムの文脈から外れていたのだなと思う。特に歌の扱われ方についてそう感じるのだけど、他のトラックが外へ開けていく感じを持っているのに対し、この曲のイメージは2D。柔らかな強さがあって、シングルで聞こえるときのほうがずっと響くところがある。
やわらかなエレクトロビート。そこにそっと乗せられたヴォーカル。ここでの歌は、重なっていくビートのひとつとしてある。やがてギターの音と出会うことで物語の展開を予感させて、さらに重なるカッティングが新しい風景を見せる。そして言葉が意味を持つ。重なった線路はまた分岐していく。途切れる。そんな物語を見る。

in due time.
we'll finally see
there's barely time
for us to breathe.

この言葉の意味を考えてみると、POSTAL SERVICE*1は一応、この一枚のアルバムで終了だったのかな、とも思えるんだけど、その辺の事情は全然知らない。出来るならもっと聞きたい。

ギヴ・アップ

ギヴ・アップ

ランダムに再生されている音楽を聴いていて「見つける」感じはちょっとどきどきする。そして、もしかしたら、そのときの自分にとって心地よい音がどんなものなのか、耳の意志みたいなものが焦点をあわせるのかもしれない、なんて思う。
たぶん、今の自分にとって心地よいのが、こんな懐かしい未来の音みたいなものなんだろうな。

*1:The Postal ServiceDeath Cab For CutieのBen GibbardとDntelのJimmy Tamborelloのサイドプロジェクト