江國香織×古川日出男リーディング&トークショー@青山ブックセンター

この前行った古川日出男さんのトークショーが良かったので再び。
今回は。各自の作品を読まれて、その後お互いの作品を読む、という構成でした。
まず最初に、江國香織さんが「ウェハースの椅子」を読まれました。江國さんは、とてもすてきな人だった。ハスキーなんだけどやわらかな声をしてて、朗読が気持ちいい。江國さんの小説は、いつから読んでないかな。子供が主人公のシリーズは好きだったのだけど、私はどうも江國さんの描く「恋愛」が苦手で、いつからか読まなくなっていた。でも久しぶりに江國さんの日本語をきいてたら、やっぱりいいなぁ、と思ったりして。
古川さんの自作朗読は「ルート350」のバッハと物語卵のリミックス。物語卵の、とくに吉祥寺鏡戦争の下りは、読書してる時には気付かなかった発見があった。
間のトークは、どちらが仕切ればいいやら、と戸惑っておられる時間が長かったような気がする。まあ、この会の発端になったトリッパーでの対談で語り尽くしてしまったということなのかもしれない。「僕は場から語りはじめ、江國さんの作品ではだんだんと場が見える」というようなことを古川さんがおっしゃっていたけど、うん、どうだろうな。比較って難しい。
そして古川さんによる「すきまのおともだちたち」からの朗読。面白かった。未読なので、初めて聞くお話だったってこともその面白さの一因かもしれないけど、古川さんの朗読も、楽しませてくれた。
江國さんが読んだ古川さんの作品は「LOVE」からの抜粋。やはり江國さんの声、いいなぁと思う。今日は全然寝てないのでちょっと眠くなっちゃったけど、ラストへの畳み掛けるようなリズムに、ぞくっとする。
最後、お二人が自分達の作品は正反対だけど、とても似ているということを話していて、そうか、と思ったのだけど、正直その辺はよくわからない。わからなくてもいいや、と思った。作者同士が出会い、共鳴するということはきっと、作品にあらわれてはじめて、読者にとって意味のあることになるのだろうし。江國さんの作品から長らく遠ざかっていた私にとっては、また出会うきっかけをもらったことで、十分だったと思う。

ところで、青山ブックセンターのこういう会に行ってよく思うのが、会場に編集者の人が多いなということなんだけど、今日は会場が狭かったこともあり、まるで担当編集者の会合みたいだった。まあそれも仕事なんだってのはわかるけど、ABCの人が話しているのに、全く聞いてないで挨拶交わしてる人とか、挨拶しているトリッパーの編集の人が知り合いだと言って、挨拶中なのに大声で名前読んだり(?)とか、がっかりさせられる。大きい会場だったら、そういうの楽屋でやるんだろうけど……。今まで行ったABCのイベントがわりと雰囲気良かっただけに、今日は後味悪かった。