ライチ☆光クラブ/古屋兎丸

最近買いはじめたエロティクスFで連載終了後のインタビュー(?)を読んで気になったので購入しました。面白かった。

ライチ☆光クラブ (f×COMICS)

ライチ☆光クラブ (f×COMICS)

廃墟の工場に秘密基地をつくり、結成された「光クラブ」と、そのクラブに属する少年たちが生み出した「ライチ」。秘密を共有することで繋がっていた少年たちは、いつしか疑心暗鬼に捕われるようになっていく。やがて内部崩壊へ至る少年たちの姿と反転して、ライチと少女の間には関係が築かれていく様は、切なく印象に残る。でも、やっぱりこの漫画の面白さは少年たちのキャラクターにあると思う。詰め襟、学制帽、コードネーム、秘密結社。耽美で残酷で怪しげ、というのが適切な表現に思える世界観。そしてそこに笑いを含ませるところが古屋さんらしい。あと廃墟の工場を描く美術はすばらしいです。巻末に基地3Dデザインとして神風動画の方がクレジットされていて、おーと思った。
この「ライチ光クラブ」は、80年代に飴屋法水氏によって主宰された劇団「東京グランギニョル」の舞台を漫画化したもの(巻末には劇団の写真やポスターも紹介されています)。そしてその劇団のメンバーに丸尾末広がいたことを知って、なるほどと思いました。あと「帝都物語」前の嶋田久作さんがライチを演じられたらしく、そこには面影が残っているように思います。
私は残念ながら劇場版を見たことはないのですが(そしてそれは今見れるものなんだろうか?)漫画は、その媒体の違いもあって、脚本にはかなりのアレンジが加えられているとのことです。そのせいか、演劇的なテンポの良さを残しつつ漫画だからこそできる演出が生きていたように思う。特にラスト数ページの美しさは圧巻だった。
もっと光クラブの日常が読みたいなぁ。あたらしいFに載ってた「常川君の日常」連載しないかなー。