動物と感情

動物には感情がないのだろうか。
馬鹿か、と笑われるかもしれないけれど、単純に知らない。
擬人化という言葉があるくらいだから、人間のような感情の動きが全ての動物にあるわけではないのだろうなと思うけれど、とりあえずほ乳類には、喜怒哀楽くらいはあるんだと思っていた。
仮に感情がないとしても(あったとしても、人間のそれとは質が違うことは確かだろうし)、感情移入するのは人間の勝手であり、「こう感じているだろう」と考えることは、ただ「こう感じている」と私が感じたことにしかならない。

私は動物を食べる。牛豚鳥魚のみならず馬も鹿も猪も食べる。チャンスがあれば他の動物だって食べるだろう。
しかし犬や猫、もちろんヒトだって、食べる気にならない。ましてや殺す気にもなれない。それはたぶん、私は彼等と暮らしたことがあるからだ。(ただ、魚だけは別だ。飼ったこともあるし、魚は大好きなのだけど、魚を釣って、さばいて、食べたことがある)
それはいったい、どういうことなんだろう。
どういうことだと思う? と訊いてみたところで、うちの猫が答えてくれるわけもないのだけど。

「道で出会って知り合いになった生き物が、ふと見ると死んでいた。そんな時なんで悲しくなるんだろう」
「そりゃ人間がそれだけヒマな動物だからさ/だがな、それこそが人間の最大の取柄なんだ/心に余裕(ヒマ)がある生物…なんと素晴らしい!!」
寄生獣』/岩明均

素晴らしい、と思っていいのかな。ただ、自分の価値観で差別しているだけなのに?
わからないけど、ともかく、そんな時に悲しくなる気持ちは私の中にもあって、それは大事にしておきたいと思う。