球体の奏でる音楽/小沢健二

フリッパーズ・ギターについては甘酸っぱい/というか照れくさい思い出がたくさんあるのですが、紙ジャケ再発盤発売に備えて(もうでたけど)、ここんとこずっと「球体の音楽」を聴いていた。一人でお祭りするタイプです。

球体の奏でる音楽

球体の奏でる音楽

フリッパーズ解散後も相変わらず彼等の音楽が好きで、1993年の『犬は吠えるがキャラバンは進む』と『LIFE』リリース後はライブにも行ったんだった。あの頃の彼は王子様なんて呼ばれていて、タワーの特典が生写真だったりして、どうしたもんかと思ったのを覚えている。
しかしその後急速に洋楽ばかり聴くようになり、しかも「カローラ2」後の小沢健二周辺はなんだかちょっと近寄りがたくなってしまって、1996年『球体の音楽』が出た当時にはすっかり遠くなってしまっていた。反射的に買いはしたもの、あまり聞き込んだ記憶はない。
でもやっぱり、これは名盤です。何をいまさら、だけど。あれからずいぶん、いろんな種類の音楽を聴くようになって、やっと種類ということを考えなくてもいいかなと思うようになって、今はただ単純に、この音楽の楽しさを受け入れることができる。
一曲め、「ブルーの構図のブルース」の、渋谷穀さんによる素晴らしいピアノと、そこに乗る水のイメージと、そこを潜って太陽に近付いていくドラマチックな展開にのっけからひきこまれて、二曲めの「大人になれば」でうきうきして、うきうきってやっぱり小沢健二の代名詞だよね、なんて思って。
ブルーの夜から始まった旅は、出会いがあって、楽しくなって、感謝になって、辿り着く「旅人たち」は、まるで小沢健二版「この素晴らしき世界」だ。そして振り出しに戻る。

紙ジャケとあわせて、昨年結局買わないでいた「毎日の環境学」も聴こう、と思った。