EGE BAMIYASI/CAN

60年代後半に結成された、ケルン出身のジャーマン・プログレッシブロックグループ。クラウト(酢漬けキャベツ)ロックなんて言葉もあるけれど、その中でも特に人気のあった(らしい)グループだ。
ジャーマンプログレといっても西側と東側ではずいぶんとイメージが違って、おおまかに分かるならば、電子音楽の先駆けともいえるクラフトワーククラスターに代表される音が西側だ。しかしCANの場合、電子音楽に与えた影響は大きいものの、CAN自体はフリージャズや民族音楽を基盤とした実験的音楽というのが一番適当だと思う。私はそのへんの歴史については詳しくないのだけど、参考文献もいろいろでているのでいつかちゃんと知りたい。

エーゲ・バミヤージ(紙ジャケット仕様)

エーゲ・バミヤージ(紙ジャケット仕様)

この「エーゲ・バミヤージ」は1972年に発表された、CANの4枚目のアルバム。私はCANのアルバムの中でも、日本人ヴォーカリストダモ鈴木が所属していた時期のものが好きで(といっても4枚しかないのだけど、その4枚の)中でもこのアルバムはジャケットも含め一番好きな作品だ。
CANの前衛的な部分と、ポップな部分がほどよく調和した音作りの中で、特に印象に残るのが小気味良いドラムとベースのうなり具合だ。そこに絡むダモ鈴木のスモーキーでちょっといんちき臭い歌声*1が、楽器としての音を鳴らしていて、とにかくかっこいい。「one more night」や「vitamin C」などでヴォーカルがソロを演奏する曲といった印象になるのはダモ鈴木ならではだと思う。
サイケデリックとかプログレとかに興味がない人にでもこのアルバムは新しく聞こえるんじゃないかと思います。サイケ周辺はもうあんまり聞きたくない*2と思っている私にも、CANはいつも新鮮に聞こえる。

結構前に紙ジャケ再発で出たので買ったのを忘れてて(……)あらためて聞いたので感想書こうと思いました。すばらしいリマスター。昔買った輸入版と聴き比べてみたけど、うちのごく普通のスピーカーでも明らかにわかる音の違い。買い直す価値ありだと思います。

*1:最初、歌っているのが日本人だと知らなかったときにそう思った。

*2:食べ過ぎて嫌いになるとかそういう感じです。