スノウブラインド/すぎむらしんいち

「ALL NUDE」+2編の新版。「ALL NUDE」は大好きな短編集で、構成も最高だと思っていたので、+2編(カラーページもなくなってる)ってと思ってたんだけども、読んでみたらやっぱよかった。ちゃんと「少女カメラ」がラストだし「ALL NUDE」がつながって収録されてるのもいいと思った。すぎむらさんの描く女の子のはだかはいいなぁ。
ともかく、読みごたえのあるお買得な1冊だと思います。すぎむらしんいちはすごいと思うし大好きなんだけど、身の回りに好きなひといないのがさみしいところ。

スノウ ブラインド (モーニング KC)

スノウ ブラインド (モーニング KC)

この短編集におさまってる話は全体的に雰囲気が似ていて、私の中では、福山庸治さんと押井守監督(というか御先祖様)を合わせてすぎむらしんいち節にした不条理劇ってイメージです。でも、ひとつひとつに関連性はなく、取り出してみると、単品でも際立って印象的なものが多い。特に時間軸の扱いとか、嫌みなく内に向かってる感じの欲望の描き方とか、舞台が混乱してく過程の勢いとかに独特の魅力があって、もっと短編かいてくれればいいのになって思います。
新しく収録されたものだけ感想かくけど、そのほかも名作だと思う。

パパが地球人を辞めた日

あやまって妻を殺してしまったことに、愕然とする男の背後で母親を探す息子。さて、男がとった行動は? というお話なんですが、これすごい良かった。「さよなら」のコマとか、すごいよ。短編映画にしてほしい。主人公板尾とかで。

でぶでば

女二人組の漫才師のお話。すぎむらさんが女性主人公(しかも美女ではなく)の話かくのはじめてみたかもしんない。けど、愛があるなと思った。女が笑いをとるのってむずかしいなーって思うけど、その難しさをちゃんと描きつつ、ラストうまくまとめたなと思いました。