パプリカ

ichinics2006-12-02
監督:今敏
夢みたいなアニメだった。ぜひ多くの人に見てほしいです。とにかく楽しくて、圧倒されて、こんなすごいものが見れたことに嬉しくなった。
人の夢に潜ることができる「夢探偵」パプリカを主人公に描かれた筒井康隆さんの小説「パプリカ」をアニメ化した作品。ですが、アニメ化というよりは「パプリカ」というアイディアから作られた全くの新しい作品といった方が正しい。インタビューで監督は「原作をなぞるだけなら原作のままでよいのであって、原作の枠を借りて想像力を広げることが望ましい」と語られていますが、まさにその通りだと思った。
夢に潜るということ。イメージが重なって連なって流れていく気持ち良さが、映像になっているということに鳥肌がたつ。画面の細部にまで神経が行き届いていて、たとえ画面の一部をきりとっても、数分ごとに分割しても、見る人を圧倒する力のあるアニメーションだったと思う。

今回はアニメっぽいアニメを、画とストーリーの主従をこれまでと反転させた「画のための物語」を作ろう……というのがコンセプトでしたので」

小説家がイメージを言葉で表現するように、今監督はイメージを映像にして見せる。この監督の手にかかれば、どんな形容詞だってメタファーだって映像にして見せてくれるのではないかと思う。
もちろん、そこにストーリーがないわけではない。*1むしろ画面いっぱいに意味が詰まっているからこそ、あえて説明する必要もない物語が流れていて、安心して映像に翻弄されることができる。そして、それがこの「パプリカ」というアイディアを映像化するのには最適の方法だったのだと思う。
それにしても、この「パプリカ」といい「妄想代理人」といい、今監督の想像力と、それを映像としてアウトプットできる才能には驚かされっぱなしだ。まるで今監督の手のひらで飛び回ってる気分なんだけど(そういえば映画の中には孫悟空になったパプリカもでてきた)、それがあまりにも楽しくて、映画が終わってしまうと気付いたときには、驚いてしまった。
大満足の帰り道はずっと、頭の中から映像がこぼれてくみたいで、少しさびしかった。すぐまた見にいきたいです。
アニメってすごいなー!
 * *
公式サイト → http://www.sonypictures.jp/movies/paprika/site/home.html

*1:ちなみに、ラストの展開については、いろんな感想が出てるみたいですが、私はすっきり腑に落ちた。/むしろ、敦子だからこそだと思う。