新宿駅南口

人混みの中をうまく歩くには、立ち止まらないことが肝心だ。立ち止まったそばから流れは淀み、分裂し、人々の間に苛々の静電気が立ちのぼる。摩擦があり、行き先を見失った人が回転する。うまく歩く人はもうずっと先にいて、声をあげることもなく振り返ることもなくモクモクと流されていく。
流れのはじまりもおわりも見えない。
間隙にはまりこんだ人が数人、渦に見とれている。