- 作者: 舞城王太郎
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2006/11/01
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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気持ちを加減したければその対象について考える時間を減らせばいい。そう結論づけたじゃないか。どうしてもう一度同じ設問をするんだ?
それはもちろん自分の出した答えに納得してないからだ。/p119
でも、それだけじゃない。いいほうだけじゃない。「僕は冷たい(略)僕は人のことをどうでもいいと思えるような人間なんだ/p135-136」それもほんとうだ。そして逡巡を切り捨てることで、速くなる。成雄はスピードを愛している。けど、同時に、よくなりたいとも思う。好きな子のために。どっちが大事なのか自問に答えはでない。
自問にはっきりした答が出ないのも当然だ。
それを訊いてる自分にも答えようとしてる自分にも、いろんな自分といろんな他人がそれぞれいるのだ。/p198
その答えは、あんまりにも希望に満ちあふれていて、私はつい、目を逸らしたくなる。だからもしかしたら、第六章のエンドが私にとってのエンドかもしれないけど、それはきっと、いつでも組み替えることができる。と思う。だってこのお話には、過去が複数用意されている(たぶん「獅見朋成雄」もその中にいる)。『九十九十九』以降、お得意のループだ。でも、時間軸が複数あっても、物語はものすごい勢いで一か所に集約されていって、現れるべきところで、現れるべき過去がちゃんと描かれる。そう思える。それが成雄の強さでもある。彼は軽々と超えてった。
彼は少し、黒須太一に似ていると思う。
以下余談