暗闇と光

ベッドサイドのライトの電球が切れたので、夜が暗い。今まではライトをつけて寝ていたのに、今は暗闇のなかで、手探りで布団をかぶる。電気を消した瞬間に夜が降ってくるようで、なぜか息をひそめてしまう。
カーテンをめくって、白っぽい月の光に照らされたとなりの家を見るとつい「雪が降っている」と確信する。少し手を伸ばし て、くもったガラスをふいてみれば、屋根は黒々として、雪などないことがわかるのだけど、雪が音を吸い込むときのあの感じは、この暗闇によって作り出されているのかもしれない。などと思いながら、眠る。
今年の冬、東京に雪は降るだろうか。それより私はまだ、雪を楽しみにしているのだろうか。