放浪息子 6巻/志村貴子

放浪息子(6) (BEAM COMIX)

放浪息子(6) (BEAM COMIX)

文化祭で上演する「ロミオとジュリエット」を中心に展開する巻。とても充実した読みごたえのある巻だった。とくにマコちゃんとニトリくんの友情が良い。
高槻くんとニトリくんの関係は、あの「遠くに行こう」と下着を買いにいくシーンなどみると、ほんとに「鈍感な男子と乙女心」のステレオタイプでもあるのだけど、それでいて、その上にきちんと共有するもののある友情がある。
しかし千葉さんがニトリくんを思う気持ちは何だろう。
まだ憶測でしかないけれど、千葉さんが男装をしても髪を長いまま見せているところからしても、千葉さんは、ニトリくんを好きでも、そのことによって自分の性別を置き換えようとはしていないのだと思う。ただ、教会でひとり、ロミオとジュリエットに自らを当てはめてて夢想する千葉さんの様子を見ると、千葉さんはちゃんと、女の子としてのニトリくんを、好きなのだと思う。
そして、p188の高槻くんの顔。高槻くんは、男の子として、恋をしはじめているのかもしれない。切ない。