君とボクの虹色の世界

監督:ミランダ・ジュライ

君とボクの虹色の世界 [DVD]

君とボクの虹色の世界 [DVD]

この映画には、思春期の少年少女と、思春期をこじらせた不器用な大人たちがでてくる。彼等の抱える妄想と現実。端からみたら照れくさいし、可笑しかったり、むちゃくちゃだったりするのだけど、彼等は皆それぞれに切実に、求めている。………でも逃げたり。
天井を見上げながら、夢の家について解説する少女の隣で、「天井に住みたい」と言う少年。しかし少女は「そうしたら、この部屋にある全てが落ちてきて、死んでしまうわ」と答える。
ここと、あそこ(そして「君」と「ボク」)は、そのように相容れない世界かもしれない。もどかしさに行き止まった時は、クリスティーンのように、車の窓ガラスに「FUCK YOU」と書きなぐって、自分を取り囲むうまくいかないあれこれをののしりたくもなるのだけど、思いがけない現実はいつの間にかベンチの隣に座っていて、髪をなでてくれたりもするのだ。
あの場面の可笑しさと優しさと愛おしさったらなかった。

見終わった後、なんだかいろんな気持ちがわっと浮かんできて、訳もなく歩き回りたくなるような映画でした。外にでて、早足はだんだんと駆け足になって、不意に口元から漏れる意味もない笑いのようで、特別なんだけどどこにでもある。スイッチ。この気持ちは、「ひかりのまち」を見たときの感じに似てる。私はあの映画がほんとに好きだ。「何か」の手を感じてしまうような、誰かと誰かのつながりをもっと見たいといつも思っているし、この映画はそれを見せてくれた。それから「サムサッカー」や、一昨日読んだ「少年少女漂流記」(id:ichinics:20070225:p1)と同じく、全ての登場人物が、どこか愚かな部分を持っている、中二な映画だったのも、照れくさくて何度も唸ったけど、好ましい。こういうがむしゃらさ、というか切実さにぐっとくるんだ。

わざわざあげるのは野暮な気もするけど。導入部分を見て「あなたがここにいてほしい」を思い出した。そういう意味では「ロード・オブ・ドッグタウン」みたい…とか一瞬思ったけど全然か。
Wish You Were Here

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