ドラえもんのび太の新魔界大冒険 〜7人の魔法使い〜

監督:寺本幸代
映画ドラえもんリメイクシリーズ第二弾。見てきました。面白かった1
「魔界大冒険」は、私にとって最も印象に残っているドラえもん映画であり、見た回数も最も多いと思う、思い入れのある作品です。

現実世界で、例によっていろいろうまくいかないのび太は、もしもボックスで「もしも魔法が使える世界だったら」と願う。そして魔法世界で出会った少女から地球を征服しようとしている魔界星の存在をきかされ、様々なトラブルに巻き込まれながらも、のび太たちが地球を守るために戦うことになるというお話。
「魔界大冒険」とは設定の異なる部分もいろいろあったけれど、設定のアレンジについては基本的に「ディテールのわかりやすさ」を目指したものであると感じたし、効果を発揮していたと思う。ただ、「魔界大冒険」がどちらかというと「友情」をメインに描かれていて全員に見せ場があったのに対し、「新魔界大冒険」は、美夜子さんに主題を据えていた。
これはいいなと思う部分もあれど、残念に思った部分も大きい。特に私にとって最も思い入れのある場面(ネタばれ注意/ジャイアンが銀の矢を打つ場面)が、まったくの別ものになっていたのは悲しかった。なんでだろう。リメイクシリーズ(といってもまだ2作品だけど)は、なんだかスネオとジャイアンの扱いがぞんざいな気がする…。

監督は「のび太の恐竜2006」での渡辺歩さんから寺本幸代さんに、作画監督小西賢一さんから、金子志津枝さんにバトンタッチしているけれど、基本的な方向性はかわっていなくて、はあの太い手書きの線を生かした絵柄がやはりいい。ドラえもんのやわらかさ、しずかちゃんのスカート、などやわらかい動きの表現も気持ち良いです。
あとキャラクターの性格が、子供の頃に私が見ていたドラえもんシリーズとはずいぶんかわっている感じがして、そのへんは「のび太の恐竜2006」より際立って感じられた。のび太は要領は悪いがわがままではなく、ドラえもんも世話焼きというよりは、のび太の友情に基づいて行動している感じ。しずかちゃんはすました感じがなく、やさしい女の子。特に美夜子さんと2人で会話する2つの場面は丁寧に描かれていてよかったです。そういうキャラクター設定は映画版だからなのかもしれないけど、微妙な会話の描き方が、21世紀でも違和感のないものになっていると思った。

そういえば、これは私が初めて体験した「パラレルワールド」ものでもあったわけだけど、ひとつの世界に同一人物が二人、もしかすると三人いる状況があって、あのとき「もしもボックス」を使ったらどうなるのかはやっぱり気になる。あとドラえもんの使う道具はどれも「科学」ということになってるけど、魔法世界でできることのほとんどはドラえもんの道具でできてしまうので、もうちょっと突飛な魔法が登場してもいいんじゃないかとも思いました。
ともかく面白かった。最終回で見たので、子どもの反応を見る(聞く)ことができなかったのは残念だけど。
来年の春も楽しみにしてます。次回は新作という噂だけどどうなのかなー。