「Our Earthly Pleasures」/Maximo Park

Our Earthly Pleasures

Our Earthly Pleasures

予備知識のないバンドのアルバムを買う時に、重要なのはなんといっても1曲目だと思う。それも最初のリフから第一声を発するまでの空気が気に入れば、もう買うことは決定したも同然。その点、この『Our Earthly Pleasures』の冒頭を飾る「Girls Who Play Guitars」は最高だった。タイトに刻むドラム、ギターのユニゾン、ゆるめのボーカル、疾走感。そのへん、今聞きたいのは疾走感、と思ってさがしていた私にはうってつけだった。
WARP発のギターバンド、ということで注目を集めていたのがこの Maximo Park だってことに気付いたのはかえってきてからだったのだけど、レーベルはもちろん、ジャケットのイメージともずいぶん違う音だった。
というか、1曲目の印象も、ずいぶんと裏切る内容だった。期待外れという意味ではない。ただ、最初思い描いた勢いのある音、よりは張りのあるなめらかな曲が多く、80年代英国POPのにおいを感じる、わりと上品な感じのバンドなのだなと思った。XTCやらブラー、デラミトリすら彷佛とさせるけど、スミスやパルプを引き合いにだされることも多かったらしい。今のバンドでいうなら BLOC PARTY をもう少し丸くした感じだろうか。
良いアルバムだし、懐の深さには好感をもった。ただ惜しいのはやはり音色が丸すぎることだ。たぶん、私が欲しかったのは疾走感じゃなくて、焦燥感だったんだな。もっと殺伐としててもいいから、アクセル踏み込むことにためらわないような音が聞きたい。