Z CHAN Lotus 改訂版/井口真吾

Zちゃん―ロータス

Zちゃん―ロータス

もしかしたら、気に入るかも、とおすすめされたので、うれしくて早速買いにいきました。知らない名前だったけど、Zちゃんの顔は見たことがあった。ロータスヘヴンに住むZ ちゃんとローズ、そしてローズヘヴン。物語は思ったより複雑で、注意深く読まなくちゃいけない、と思う。もうひとつの世界にも目を凝らしながら、読み進めていくのはまるで、寝入りばなの気持ち良さに、ちょっとした抵抗をしつつ、確実に沈んでいくような感触。

全ての希望がもしもかなったとしたらどうなると思う? 僕はずっと考えてみたんだよ。つまり、驚いたことなんだが、そこには何処を捜したって、もちろんケーキ屋を捜したって、希望のかけらさえなくなっちゃうんだよ。しかも、永遠になんだ。
僕にはそれがどういうものなのかわからないよ。幸福なのか不幸なのか、良いことなのか悪いことなのか、さっぱり見当がつかないよ。思い浮かべることだってできないんだ。ただ、そんなさっぱり見当がつかないようなことを望んだ最初の主人公のことを考えると、何だか知らないけど身体じゅうが不思議な具合にぞくぞくしてきて、とりあえず彼のために乾杯でもしなきゃいられないような気がしたんだよ。僕のその時の気持ちをわかってるれる、リチャード・セックス?

沈むかわりにじっと読み進めながら考えていたのは鈴木志保さんのことだった。「ヘブン…」はもしかして、この物語への、しかもローズ側からの返答だったんじゃないかと思って、確認したくて、探してるんだけど見つからない。この世界がつながってる感じ、は私の妄想かもしれないし、Shipbuilding さんがおすすめしてくれた本だからかもしれないんだけど、「船を建てる」も手もとにない。だからかわりに、ロバート・ワイアットのカヴァーした「Shipbuilding」を聞いている。
作者のあとがきも、良かった。まいっちゃうよね。

「ヘブン…」/鈴木志保:感想

Zちゃん―かべのあな

Zちゃん―かべのあな

これもよみたい。