リンダリンダリンダ

劇場でみなかったことを後悔した。ものすごいよかったです。これ公開時に見てたら今年のベストとか言ってたと思う。見終わったあとに、こう、思わず走りたくなるすてきな映画でした。

リンダリンダリンダ [DVD]

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女子高生が、バンドをやる。文化祭最終日の本番まで3日間しかない中で、ブルーハーツのコピーを猛練習する。学校に泊まり込んだり、みんなで買い物して友達の家でご飯食べたり、その夢中をあたりまえのこととして過ごしながら、時折、ふと今がすごく特別だって意識して、それに照れたりしながら。
その「特別」をもっとも明確に意識しているのは、たぶんバンドのボーカルとして気まぐれに誘われたのは留学生のソンちゃん*1だ。だからこそ、彼女がみんなを見る視線が、物語の視線にもなっているんだと思う。ソンちゃんが1人で「今」を反芻する場面や、言葉が通じなくてもなんとなく通じる場面は、たまらなくいとおしかった、
映画を見ながら、自分が学生時代にバンドやってたときの、こう、ドラムスティックが削れてくのがうれしかったことや、シンバル高くたてすぎて腕がつったライブとか、通学途中ずっとウォークマン聞きながら耳コピしてたこととか、マガジン叩きながら練習とかね、こう質感としてよみがえってきて、楽しかったけど、でもあんまうまくなれなくて、バンドも自然消滅して。もっとがんばりたかったなとか、もっと夢中になりたかったとか、そういう手の届かない感じは、この映画で描かれる「学校」という空間が、とてもリアルだからこそ、切実なんだと思う。
リアルというのは、そのまんま、ということではなくて、画面にうつっているもの以外の、空気を感じるという意味だ。物語につながるとはそういうことだと思う。そして、音楽にはそれを、後押しする力がある。
ラストのライブシーン。演奏が始まる瞬間までの、セッティングしている間のざわめき、マイクを握った瞬間から、飛ぶ感じまでをひとつづきの流れて丁寧に描写していて、鳥肌が立つくらいすばらしかった。彼女たちを見つめる男の子の視線もよかったです。そして、ブルーハーツは最高だ。
とてもいいものを見ました。ありがとうっていいたい。

*1:ペ・ドゥナさん(猛烈にかわいい)