劇場でみなかったことを後悔した。ものすごいよかったです。これ公開時に見てたら今年のベストとか言ってたと思う。見終わったあとに、こう、思わず走りたくなるすてきな映画でした。
- 出版社/メーカー: バップ
- 発売日: 2006/02/22
- メディア: DVD
- 購入: 3人 クリック: 203回
- この商品を含むブログ (688件) を見る
その「特別」をもっとも明確に意識しているのは、たぶんバンドのボーカルとして気まぐれに誘われたのは留学生のソンちゃん*1だ。だからこそ、彼女がみんなを見る視線が、物語の視線にもなっているんだと思う。ソンちゃんが1人で「今」を反芻する場面や、言葉が通じなくてもなんとなく通じる場面は、たまらなくいとおしかった、
映画を見ながら、自分が学生時代にバンドやってたときの、こう、ドラムスティックが削れてくのがうれしかったことや、シンバル高くたてすぎて腕がつったライブとか、通学途中ずっとウォークマン聞きながら耳コピしてたこととか、マガジン叩きながら練習とかね、こう質感としてよみがえってきて、楽しかったけど、でもあんまうまくなれなくて、バンドも自然消滅して。もっとがんばりたかったなとか、もっと夢中になりたかったとか、そういう手の届かない感じは、この映画で描かれる「学校」という空間が、とてもリアルだからこそ、切実なんだと思う。
リアルというのは、そのまんま、ということではなくて、画面にうつっているもの以外の、空気を感じるという意味だ。物語につながるとはそういうことだと思う。そして、音楽にはそれを、後押しする力がある。
ラストのライブシーン。演奏が始まる瞬間までの、セッティングしている間のざわめき、マイクを握った瞬間から、飛ぶ感じまでをひとつづきの流れて丁寧に描写していて、鳥肌が立つくらいすばらしかった。彼女たちを見つめる男の子の視線もよかったです。そして、ブルーハーツは最高だ。
とてもいいものを見ました。ありがとうっていいたい。