少女革命ウテナ アドゥレッセンス黙示録

企画・原作:ビーパパス幾原邦彦さいとうちほ榎戸洋司、長谷川眞也、小黒祐一郎

少女革命ウテナ アドゥレセンス黙示録【劇場版】 [DVD]

少女革命ウテナ アドゥレセンス黙示録【劇場版】 [DVD]

すごいものを見てしまった。見てる間ほとんどポカーンとしてたと思う。そのくらい妙で、最初は劇場版だからかなと思ったんだけど、それを差し引いても様子がおかしい。
しかし、最初のコーラスの入るあたりで、ああこれは舞台なんだなとわかる。背景の掃けかたも、狂言まわしとしてのDJシーンも、コマ割りも、会話のテンポも、暗喩のような台詞も、気付けば宝塚の絢爛豪華さと現代劇の文法を融合させたような演出になっていて、様式さえ了解してしまえば、後はその物語が何をいわんとしているのかを見るも、様式の奇抜さを楽しむも自由になれる。
バラが豪快に舞い散る中、男装の麗人である主人公がお姫さまを獲得する為に戦う…。どうやらそれがこの世界のルールらしい。最初は違和感のあったビジュアルにもあっという間になれ、単純に見ていて楽しい。そして、その中に少女であり王子であるウテナの弱さや曖昧さ、迷いを滲ませる場面の作り方が、「わざとらしくて」良い。たとえば碇シンジの独白のように、言葉とともに脳内をさらけだすときの薄気味の悪さは、じつはそのキャラクターに対する気味の悪さではなく、物語がそのキャラクターの脳内に回収されていくような気がするからなのかも、なんて考えてみたり。
直接的な表現と、メタファーをそのままビジュアルとして見せてしまう。のねじれ具合が絶妙。とくにラストは圧巻。思わず「なんで!」といいたくなる演出が、文句を差し挟む隙もなく繰り広げられる。そして物語は意外な展開を見せる。物語があくまでも「お芝居」として描かれていたことの意味、ウテナが女でありながら王子だった意味、というかからくりが露になる。
いやーすごいアニメでした。こんなの見たことなかった。ただ、物語については、たぶんTV版を見た方がよさそうなので、見てからあらためて。
ちなみに音楽は寺山修司主催「天井桟敷」の音楽家J・A・シーザーさんが担当しています。「絶対運命黙示録」のインパクトがすごい。

冒頭の場面で、なぜか長野まゆみさんの「テレヴィジョン・シティ」を思い出したりしたんだけど、テレヴィジョンシティがどんなはなしだったかが思い出せない。