フラワー・オブ・ライフ 4巻/よしながふみ

フラワー・オブ・ライフ (4) (ウィングス・コミックス)

フラワー・オブ・ライフ (4) (ウィングス・コミックス)

楽しみにしてた作品が終わってしまった。4巻を手に取って、読むまでにすこしためらった。あーこれ読んでしまったら、終わるんだなと思ったりした。それはちょうど、大晦日の夜の、終わりと始まりのうえに、ぶら下がっているような気持ちだった。
4巻の雰囲気は、これまでの3冊とは明らかに異なっている。ちりばめた伏線を総ざらいしていくような駆け足が、#17でせき止められ、#18でおだやかに溢れていく。
よしながふみさんの漫画を読んでいると、ときおり、その理想のようなものを息苦しく感じたりもする。つまり、すべての人物がきれいすぎるというか、枠のようなものの中で動いている感触があって、最後にはすべて同じ人物の側面であるように思えてしまうのだ。そして、その形式とはやはり「作者の言葉」なのだろう。
しかし、この「フラワー・オブ・ライフ」は、いろんな言葉を最後には飲み込んで、ただひとつの普遍的なテーマに集約している。それが、この作品をとても力強いものにしているし、最後に提示された「言葉」が、次に続くものであるように、期待させてくれるんだと思う。
終わりではあるけれども、登場人物たちが物語の外へ足を踏み出していくようなラストのおかげで、読み終えてもさみしいとは思わなかった。いい漫画でした。

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1、2巻感想(id:ichinics:20050822:p1)