人類は衰退しました/田中ロミオ

人類は衰退しました (ガガガ文庫)

人類は衰退しました (ガガガ文庫)

タイトルからすると、ちょっと意外で、表紙からすると、わりと納得な一冊だった。つまりあとがきにあるメソッドにきっちりのせられた感じではありますが、でもじゅうぶん、楽しんで読みました。
人類は衰退していて、すでに旧人類となっている世界。新人類である「妖精さん」たちとヒトとの「円滑な関係構築」を生業とする新米調停員の女の子が、物語の主人公です。かわいらしいお話なので、ぱっと思い付いたのは、メモルだったけど、とくに後半、ちょっぴりSFな結末を迎えるあたりは竹本泉作品のイメージに近い。アイデンディティーを重視せず、集合すればものすごい力を発揮するけれども、またすぐ離散してしまうという妖精さんたちののんびりした刹那さは、そういやタチコマみたいでもあるなぁとか、思う。
ひとつのお話としてまとまってはいるけど、まだ導入部じゃん、とも思えるところでお話が終わっているので(そしてあとがきにもあるように張られたままの伏線もあるので)、続きがあればいいのになぁと思うんだけど、どうでしょう。あるのかな。
田中ロミオというひとについては、私はまだ「CROSS†CHANNEL」をやったことがあるだけで、あのイメージしかないのだけど、でもそれでも言葉遣いの端々に、ああ、と思う語り口があったりする。そろそろ夏です。