「300」

ichinics2007-06-24
監督・脚本/ザック・スナイダー
フランク・ミラー作品の映画化。
スパルタの300人の精鋭と、圧倒的な軍力を誇る帝国ペルシアとが戦う「テルモビュライの戦い」を描いた物語。物語の筋はシンプルだけれど、効果的に配置された伏線、フラグをアクセントとしながら、映像の快楽を突き詰めたような作品だった。スパルタ兵士のかっこよさを、脳内だけでなく共有できるものとしてアウトプットしてみせてくれる映像の圧力。それだけを見せようというストイックさもまたスパルタ的だと思った。
100万に対して300人で挑むというと、まるで捨て身のようだけど、スパルタ王レオニダスはちゃんと勝てる算段をつけて挑んでいる。アクションシーンでも、スパルタ軍がどのように戦っているのかをきちんと見せてくれるのがよかった。300がひとつになって一糸乱れぬ攻撃をくり出す。その瞬間にはぞくぞくするような快感があったし、盾、槍、剣を「使える」とはどういうことなのかが見て感じられる映像だと思った。ラスト近くの、背中合わせの二人の戦いなんかは、舞踏のようなうつくしさだったな。
そりゃ勝つわ、と思うし、勝てるかも、という期待をさせてくれる。スパルタの強さに説得力があるところが、とくに良かったです。
そして、そこには意志統一の力強さもある。ひとつの目標に向かって士気をたかめ、鍛錬を積んできたことに自負があるからこそ、向かって行ける。強さこそ正義、といわんばかりの自信にあふれた目。筋肉は裏切らないのか。そうなのかもしれない。