入江亜希さんの短編シリーズ。シリーズというより短編集なのだけど、どこか連なっているような印象。たとえるなら、ある女の子の本棚みたいな。
とても良かったです。
- 作者: 入江亜季
- 出版社/メーカー: エンターブレイン
- 発売日: 2007/06/25
- メディア: コミック
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- 「ニノンの恋」
- 魔法ででもきれいになって、すきなひとにじぶんをみてもらいたい、という気持ちのいじらしいお話。恋をすると女の子はきれいになります、なんて、ほんとならどんなにかいいだろって思うけど、そんなのあてにならないから、逃げ回って、小さくなってかくれる。そんなニノンが笑顔になるカットがとてもすき。すきなひとがきれいっておもってくれるなら、それだけでいいんだ。
- 「時鐘」
- いのちを知る。というおはなし。あの雪の日の廊下のカットとかいいなぁ。
- 「北の十剣」
- ある王女のクロニクルを描く全5話のシリーズ。素敵でした。ひとつひとつの話をつなぐ短い番外編が、すごく映像的な編集になっていると思った。第4話のマントのシークエンスもすてきだなぁ。あとラストシーンがすき。
- 「彼の音楽」
- 音楽が大好きで、でも失敗ばかりしてる男の子の話。これにも後日談がついてて(コーヒーのCMかっと思ったけど!)、ああーやさしいなとおもいました。やさしくされるとなくわ…。でも彼がちゃんとむくわれるのは、かれの真摯さゆえ、ってうのも誠実。
- 「続ピンク・チョコレート」
- 表紙のカットがすてきすぎる。お手伝いさんのやりとりも、ドアの前の酒盛りも。みやこさん!
1巻にもちょっとあったし、2巻では「北の十剣」以降の作品に付録されているサイドストーリーは、まるで読み終えた本の続きを考えるしぐさのようだなと思う。自分で考えたお話のつまった本棚から、時々物語を取り出して眺めるみたいな、この親密さが作品をつないでくような気がする。