時をかける少女、何度目か

時をかける少女 通常版 [DVD]

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夏になったせいか、テレビでやるときいて気持ちが盛り上がったからか、最近「時をかける少女」を見返したりしてる。そして、何度か見るうちに、このアニメはきっといつか、転換点として振り返られることになるんじゃないかなと思うようになった。
この前読んだナベシン×湯浅監督インタビューで、「いつまでも宮崎、押井じゃ不健康でしょ」という言葉を、たのもしく感じたわたしは、どこかこれまでは宮崎、押井だったことに納得していて、でもこれからはちがうぜ、というのを感じてしまうところはあるよね。この気楽そうにみえるタッチで。そもそも、線なんてあったかどうかわからないけど、これがそれを越えてったとしたら、その力はきっとこの普遍にあるのだと思う。「タイムリープ」に翻弄されることが物語なのではなく、その設定が、登場人物の感情と観客側の感情を密接に結び付ける装置として共有されている感じ、といえばいいのだろうか。
などということを考えながら、客観的に見てる気分でいても、この作品にはいつのまにか引き込まれてしまう力があって、私は毎回なきそうになる。まことなかないで、と思いながら、たまにほんとになく。
最初に見たときは、この物語の中に、映像のなかに、かつて自分もいた時間のことを思い出し、そこにはもう戻れないのだということに愕然としたりした。風景の切り取り方のうまさは、やはりこの物語の大きな力だと思う。
けど、もうその風景は私の記憶の中にあって、夏の空、とか、でかい雲、とか、信号を待つ間のぼんやりにふと、あの気持ちを思い出したりする。
とにかく走って、このもやもやした感じふりはらって飛びたいと思うときの、あと一歩。あの感じ。