バラ色の明日/いくえみ綾

バラ色の明日 1 (集英社文庫)

バラ色の明日 1 (集英社文庫)

いくえみ綾さんの作品は、実は全然読んだことなかった。そういえば、と思ってこれを買いました。別冊マーガレットに連載されていた短編/中編シリーズ。
文庫版1巻の巻末に収録されているインタビューで、多彩なキャラクターを描くコツは?という質問にたいして「自分の好きな人も、嫌いな人も、興味ない人もとりあえず描く」と返しているのを読んで、ああ、プロだ、とか思う。
ぜんたいを覆う雰囲気は、決してバラ色ではなくて、白のなかに、ほんのり赤みのさすような、そんなイメージ。
自分の感情をそこに当てはめて気持ちの逃げ場になるよーなお話は少ない。のは、たぶん思いがかなって、幸せ、というお話があんまりないからで、でもたとえば友達でいられることを喜ぶような、恋人でなくても大切であるような、そんな関係っていうものこそが、物語なのかもしれないなと思う。現実のがずっと白黒ついていて、あいまいなままでいられなかったり、しないかなどうかな。