天然コケッコー

ichinics2007-08-07
監督:山下敦弘 脚本:渡辺あや 原作:くらもちふさこ
大好きな「天然コケッコー」映画版を見にいきました。
天然コケッコー」は、くらもちふさこさんの長編漫画で、小学校中学校あわせて6人の分校へ、ある日東京からの転校生がやってくるところから始まる物語。
今回の映画化では、山下敦弘監督、渡辺あや脚本と、どちらの個性に傾いても面白い作品になりそうなスタッフだし、だから、きっとこの映画は映画オリジナルとして見た方がいいんだろうな、なんて思っていたんだけど、実際に映画がはじまってみると、予想以上に原作に忠実な、丁寧にあの世界を追いかけるような作品だった。
くらもちふさこさんの、あの独特の語り口、時系列の編集の仕方とか、その辺は漫画の楽しみにとっておくとして、映画ではむしろ漫画では見ることのできなかった、そこにいる人々を含んだ「場」のうつくしさを画面にうつすということに尽力しているように思えたし、季節ごとに、1話づつピックアップしてまばたきするようにつながっていく、その構成もシンプルでいさぎよく思えた。
特に、トップランナーで渡辺さんが島根出身のかただと知って期待していた以上の、場の丁寧な描かれ方に、思わずためいきがもれる。
人は、場とともに暮らしていくんだなということを考えたりする。
東京への修学旅行の場面で、それまで続いてきた島根の風景との対比に、ずうっと東京でくらしてきた私まで心細くなったりして、でもそよが、東京を少し気に入ってくれたことが、すごくうれしかったりもして。
どの子どもも、みな「いいこ」とかそういうひとことで完結する存在ではなく、すごくやさしいけれどたまに気の利かないそよとおなじように、みんな足りないとこもっている。そういうとこも、この作品をいとおしくおもう理由のひとつです。
とくに、そよちゃん役の夏帆さんは、もうすっごいかわいかったなぁ…! さっちゃんもかっちゃんも、みんなイメージどおりだった。特に、そよとさっちゃんのやりとりは、ぐっときた。それから大沢君との恋模様も、最後の畳み掛けがきいてたと思います。ああもう! 手を繋ぐ場面でアップになる、ふたりの手がきれいだったな。