梅佳代展「男子」

すごく暑い日で、でもうきうきしながら、原宿駅からえんえんあるく。暑いのは苦手だけど、なんだかちょっと酔っぱらったような気分で会場に入って、ほうほうなんて眺めながら、ふと聞こえてくる会話の音。
あれは、撮影している現場の音声だったんだろうか? 子どもが話しかけている。「ぼくカブトムシが大好きなんだよね」みたいなことを、いきせききってしゃべっている。この会話が、これら愉快な写真の奥にあるのだろうか。なんてことを考えていると、写真たちがいっせいにしゃべり出すような気が、する。なあなあなあ。この饒舌さというのが、梅佳代さんの写真の魅力の一端であり、同時に「うめめ」との違いなのではないか、とか思う。
「うめめ」に見えたのは、ほとんど奇跡的な偶然みたいなものだったけれど、「男子」の男子たちは、たぶん「のせられて」いる。たぶん、演技し、演技しきれてないその合間に、この面白さがある、という発見のもとに、意図してとられているのだと思う。たぶん、ポートレイトってそういうものなのかもしれないけど…。どうかな。
奥まった場所では、梅佳代さんが、かつての男子たちを探してあるく模様を撮影したVTRが流れていた。そして私は、大阪の男子たちのノリのよさにすっかり感動して、ああ、この写真集については、この場でなければあり得なかったことなのだなと思う。それもまたひとつの奇跡なのだけど、大きくなって、少しばかり恥じらいを見せつつも、ちゃんと期待に応えて、のっかってくあの男子たちの姿に感動し、勝手にあこがれた。
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男子

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