それ言わなくてもいいのに日記

結婚できない男」というドラマを何回かテレビで見たことがある。わりと面白くて、人気もあったドラマだと思うんだけど、この主人公の言動は(顔ではなく)うちの父親にとてもよく似ていていた。
たとえば、建築家である主人公のところに依頼に来たカップルが、結婚後に奥さんは仕事を続けるのかどうかでもめている場面での台詞。

「まあ話を聞いたところでは、奥さんの思い過ごしと言うか…ご主人はあなたを必要としているわけだし、あなたに家にいて欲しいんですよ。
今の職場でこんなに求めてくれる人がいますか? 必要とされる所にいた方が良いでしょう、居ても居なくても同じような所にいるよりは…」*1

前半はいいとして、後半のこの、言わなくてもいいひと言が、もう…ものすごくうちの父さんぽい。あまりにも似ている。他人事とは思えない…!と兄弟で言いあった。(ただドラマを全部見たわけじゃないので、あくまでもこの場面の印象だけど)

例えば、うちの父さんは、料理をつくって「どう?」と聞いても苦笑するだけだし、口を開くとしても「塩が控えめならよかった」「彩りがよければよかった」「こんないい肉使っても料理の腕が云々」「ちゃんと特売の日に買ったのか」みたいな台詞ばかりだ。ご飯や煮物をよそおうとすると怒るし(自分の食べる量は自分で決めるからとのこと)、好きじゃないメニューだった場合は自転車でスーパー行って刺身買ってきたりもする…。
そういえば、わたしが大学受験のとき、一緒に合格発表見に行ったのに、
「落ちてる気がするから俺見ないから、ひとりで見てきなさい」
って言ったのにはびっくりしたなぁ…。そんで「合格してたー!」って父さんとこ戻ったら、
「そういうことはちゃんと確認してから言いなさい…!」
って怒られたなぁ…。そして自分も番号確認して、何を言うかと思えば「ま、もうちょっと学費の安い学校だったらいうことなかったけどね」って。うん。

もちろん、子どもだったわたしは父さんのおかげで生活できていたんだし、今になってみれば、ああいうの基本的には照れ隠しだったんだろうなって思う。現在では父親と同じ仕事をしているくらいだから、影響もたくさん受けた。
でも、まあそういう言動に、いちいちショックを受けていた時期というのもあって、そんなわけで、わたしと父親は、あんまり仲が良くなかった。お互い年をとって、今はまあまあと言えるくらいになったけど、その仲良くなかった時代にしても、仲が悪いっていうのとはちょっと違って、たぶんお互いに、どう付き合っていいのかよくわからなかったんだと思う。
昔から、外で会っても知らん顔だった。中学生の頃から電車通学だったわたしは、駅で、帰り道で、父さんとすれ違ったけれどいつだって、目が合ったって、声をかけあうことはなかった。

それなのに、最近は夜洗面所で歯を磨いていたりすると、「お姉ちゃん、ブログって知ってる…?」とか声かけてきたりする。親に向かって言うのも生意気だけど、お互い年とってまるくなったなぁと思う。
そんでも「ああ、やったことあるけど(適当)なんで?」とか答えると、嬉しそーな顔で訊いてくるのが、

「どう? 炎上してる?」
だったりするのが相変わらずで(そもそも意味わかって言ってるのかは謎だけど)、面白いです。

*1:台詞はこちらよりお借りしました(http://csx.jp/~lipcre/comic/kekkon.htm