「そんなもんじゃないだろ」

ちょっと気になっていたので『人のセックスを笑うな』を読み返してみた。
気になってたのは、映画でも小説でも、最後にでてくる

「会えなかったら終わるとか、そんなもんじゃないだろ」

っていう台詞についてなんだけど、再読してもやっぱり、小説で読むのと映画で見るのとでは全然印象が違う気がした。ミもフタもない書き方をすると、小説は否定、映画は肯定に思えた。その台詞に対して、みるめが、自分で用意しているだろう答えが。
もちろんどっちがいいとかじゃないし、ユリとみるめの関係も、映画と小説ではそれぞれ違う。
でも、その否定肯定の感触っていうのは、もしかしたら映画と小説の違いなんじゃないのかなって気もした。
小説は、回想するみるめの視点で読んでるから、「 」でくくられたあの台詞は、やはり遠くのものに感じた。しかし映画のみるめは、台詞の(台詞だったっけ、モノローグだったっけ、その差も重要な気がするけどとにかく)渦中にいて、「 」はまだ過去になってなかった。
小説のラストで、続いてく花火を見ながら思っていたのは、輪と輪のつなぎ目みたいなものだろーと私は思っていた。そして、そこんとこ、映画は違う提示の仕方を選んだんだと思う。
だからなに、というわけではないのですが、今日はそんなことを考えていました。
そんなもんじゃない、という視線の先にある「続く」にも、いろんなかたちがある。
私は、弱火でまめに、溶いてるみたいなのがいいなと思う。

写真は関係なくて、このまえなんか鼻息が聞こえる…と思ったら植え込みの中に猫が寝てたのみつけたときの。猫にも花粉症ってあるのかな(早く元気になりますように…)。