夏で海で車の後部座席で


先日、結婚した友人とは、もう10年以上の付き合いになる。一緒に式に出席したもうひとりと3人で、暇さえあればファミレスに集まり、趣味があうわけでもないのによくもまあというくらいしょっちゅう顔を合わせていた。話題が尽きても誰も気にしなかったし、そのうち誰かのお腹がすいたり、旅行に行きたくなったり、恋人ができたり別れたりで、そのたびに集まっては同じような話を繰り返した。
彼女たちといるとき、私はよく眠った。運転席と助手席にいる2人の背中を見ながら、趣味のあわない音楽に文句を言いながら、私はよく居眠りしていたし、寝入りばなに、「また寝てるよ」という声をなんども聞いた。
一昨年の夏、3人で海に行った時も、私は浜でひとりで寝ていた。目が覚めた時はもう夕方近く、2人は私の横に座って、なにやら好きな人の話をしていた。楽しそうな声で、汗かいたビールの缶が砂の上にナナメに立ってて、パラソルのはしっこがひらひらしていて、
そこで頭に浮かんだのは End of the world *1のメロディだったりもしたけど、そのまま、しばらく寝転んだままでいて、こういうのってなんていうか、幸せだよなあ、と思っていた。

結婚式当日、私はもうひとりと一緒にスピーチをすることになっていた。当日まで悩んでいたけど、結局あたりさわりのないことしか言えなかった。でも、言いたかったのはたぶん、ここに書いたような、漠然とした気分のことで、つまりまあ、彼女の楽しそうな声が聞こえれば、わたしもわりと幸せな気がするということ。

それにしても今月はめでたい話続きで、結婚式が2回、入籍のお知らせも2回、あった。それぞれひとつひとつ、ほんとうに特別なことなのだけど、これだけ続くと、なんかこう、月日の流れみたいなものを感じる。1か月、半年、1年間の長さは、もしかしたら体感速度できまるのかもしれないなあ、なんてことを思う。
彼女とはもう10年以上の付き合いで、今年はもう半分終わった。これまでの10年とこれからの10年はどっちが長いんだろうな。