ハイペリオン/ダン・シモンズ

ハイペリオン〈上〉 (ハヤカワ文庫SF)

ハイペリオン〈上〉 (ハヤカワ文庫SF)

長年の夢だった*1上下巻を読み終えました。
面白かった。予想してた話と全然違ったけど、すごく面白かったです。
物語の舞台はテクノコアの管理する、転位ゲートによって結ばれた惑星たちが形作る連邦。その辺境惑星ハイペリオンに降り立った7人の巡礼たちの物語が順番に明かされていく中で、物語全体に関わる大きな謎が明かされていく。SF物語特有の設定、ツールについては少し理解しづらいところもあったけれど、なんとなくでももちろん面白かった。あとがきまで読むと、それぞれの物語に列挙されるモチーフの多さにもびっくりするんだけど、そういうの知ってたらまた別の楽しみ方もできるんだろうなと思います。
ともかく、それぞれの物語が少しずつ関係しあうその筋書きの綿密さに、近頃長い本を読みきるのが苦手になっている私も一気に読むことができました。そして、それぞれの物語の描かれ方がまたバラエティに富んでいて、器用な人だなあと思う。
私が特に好きだったのは、幼子を抱いたソル・ワイントラウブの物語と、ブローン・レイミアの物語。
特に前者で描かれる、時間がすれ違っていくことの切なさを、「レイター、アリゲーター」という決まり文句に集約しているところとか、たまらなくぐっときました。
そしてラストシーン、頭の中にあるメロディと物語が重なることで、まるで映画のエンドロールを見ているような気持ちになるラストはすばらしかった。
でもこのハイぺリオンだけを読んでもまだ物語の全容にはぜんぜんたどりついていないようです。読み終えて、続編にきっちり続いているのだということを知り、愕然としつつ、うれしい気持ちでいます。
ハイペリオン〈下〉 (ハヤカワ文庫SF)

ハイペリオン〈下〉 (ハヤカワ文庫SF)

関連

「夜更けのエントロピー」/ダン・シモンズid:ichinics:20060122:p2)
ダン・シモンズで最初に読んだのはこの短編集でした。特に教師が主人公の2編がすごく面白くて、よく思い出す。

*1:http://d.hatena.ne.jp/ichinics/20080910/p1 にて後押しして下さったid:yoghurtさん、ありがとうございました!