レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで

監督:サム・メンデス
いろんな人の感想を読んで気になっていたので地元映画館の最終日に見てきました。
タイタニックに主演したレオナルド・デカプリオとケイト・ウィンスレットが再び共演するということで(同じくタイタニックに出演していたキャシー・ベイツも出ている)、その配役にはなんらかの意図があることがうかがえるのだけど、タイタニックに描かれた氷漬けのロマンチックはこれでもかというほどの木端微塵にされるので、正直なところ、見終わった後にぐったりしてしまいました。(関係ないけど、この前テレビで久々にタイタニックをみたら、はじめてみたときとは違って、ローズの婚約者が不憫で仕方なくてそこばかり気になった…)
物語は、郊外に住む若夫婦のディスコミュニケーションを描いたものといっていいと思う。二人には子どももいるのだけど、あくまでもその存在感は薄く、描かれるのは二人のやりとりが中心だったため、まるで二人劇のような脚本だなと感じました。
女優を目指していた妻は、にぶい夫への苛立ちを募らせながらも、子どもができたことで郊外に家を買い移り住み、夫は夫で「ああはなりたくない」と思っていた父親と同じ会社に勤めている。
そんなある日、妻は「夫のために」といってある人生改革プランを発表するのだけど、2人の恋人同士のようなやりとりと反比例してお互いの思惑はすれ違っていく。
これは存在意義のよりどころをお互いに見出そうとして失敗する物語、ともいえるのだけど、彼らはなぜ失敗したのだろう…と考えると、どこも行き止まりのように思える。
この映画を見始めて、真っ先に思い浮かべたのは、「めぐりあう時間たち*1に描かれたローラという女性のことだった。彼女の抱えていた「些細な、しかしきわめて切実な絶望」のことを思う。そして、なぜケイト・ウィンスレット演じるこの妻には、あらゆる予想を裏切るような一瞬が訪れなかったのだろうか、と思う。それは彼女が最後まで、自分と向き合うことができなかったからなのではないか。
そこで、ラストのおじいさんが選んだ方法を正解とするのは、なんだか皮肉のようにも思えた。

あと、感想書き終わってからこの監督がケイト・ウィンスレットのだんなさんであることを知ってものすごく複雑な気分になりました…。