高校生

駅前のセブンで待ち合わせて立ち読み。それ買うならそのページコピーしたい、とかやってるうちに朝礼のベルぎりぎり。人気もまばらな昇降口から3階まで走って、朝からぐったりしてた。
リーダーのT先生はいつもオーダーメイドのパンタロンスーツを着てて、私はよく髪が短すぎる、と怒られた。
弁当を忘れてきた日にはそばのおにぎり屋か商店街のパン屋。モスもあるのにファーストフード店に入るのは禁止で、私たちはよく文句を言った。飲み物だけは牛乳係がまとめて注文して、みんなダイエットしてるからいつもウーロン茶が一番人気。でも授業中のおやつは別。
昼休みを今も仲が良いMとAと一緒に過ごしたことはほとんどなくて、彼女たちと仲良くなったのは確か3年の合宿で進路先を調べるグループが一緒になったからだった。Mはそのときの宣言どおり調理師になり、私の計画は大学受験の時点で崩れた。でもそれはそれでよかった。
音楽の先生はちょっとかっこよくて、たくさんの女の子が先生のこと好きだった。そのほとんどは、誰かを好きになりたいという気持ちからきていて、今思えば、思春期のもてあました恋愛感情をぶつけられる先生は、さぞかししんどかったことだろう。当時はそんなことを思う余裕すらなく、AちゃんもIさんも、Yちゃんすら、M先生に夢中だった。
そんなYちゃんにつきあって入部した合唱部はけっこう楽しくて、先輩はかわいかったし、新しい友達もたくさんできた。部活帰りにはいつも豪徳寺ドムドムに寄って、単語帳になにやら書くふりをしつつ、フライドポテトのどの部分が好きかということを真剣に話し合ったりした。で、小さいカリカリのやつの奪い合いになった。
学校があって、放課後があって、家に帰って、一日はあきあきするほど長くて、でも明日何があるかなんてぜんぜん想像もしなかった。
考えるのは漠然とした遠くのことばかりで、今をいつかなつかしく思うなんて、物語の中だけのことだと思ってた。