「海の天辺」/くらもちふさこ

こないだ読んだ「キス」の流れで*1、「海の天辺」を再読してみた。
「海の天辺」はたぶん、私がはじめて読んだくらもちふさこ作品だったような気がする。
ただ、はまったきっかけはこれじゃなくて「天然コケッコー」の連載だった気もする、とか数年ぶりの再読だったので、記憶もいい具合に曖昧になってて新鮮でした。

そしてやっぱり、くらもちさんの描く漫画は不思議だなあと思った。いわゆる少女漫画の恋愛もの、というと、相手と自分の世界を中心に描かれるものを想像するけれど、「海の天辺」には大人側の世界と子ども側の世界の温度差がはっきりとあらわれていて、その差は埋められないもののようにずっと横たわっている。つまり物語の視線が、主人公にあるように見えて、はっきりと俯瞰している。
だからこそ、先生への恋はあくまでもこの年頃を描く要素のようにも見えて、3巻のp110あたり、先生が主人公(椎名)をあきらめさせようと言った台詞に対する椎名の行動なんてすごく、なんていうか生々しくてすばらしい。

先生は近くに見えてホントは遠くにあるお月サマ
3巻p197

こうやって椎名が自覚するまでの過程は結構切ないのだけど、直後の4巻がどんでん返しにつぐどんでん返しなのもすごい。改めて読んでも緊迫感のある回がつづいていて、特に終盤は、これ恋愛漫画じゃなくてサスペンスじゃないの…って思ってしまうくらいの緊迫感。
先生もの、としてこれを筆頭に挙げるのはなんか違ったような気もするけど、とても面白い漫画です。そしてやっぱり、不思議な漫画だなーと思った。

ところで今日7月1日だなと思って昔の日記見てたら2年前の今日には「天然コケッコー」特別編の感想とか書いててなんか相変わらずだ。