夏休み断片

渋谷の朝11時、まだ人もまばらな交差点を渡り、打ち合わせに向かう。ビルの入り口にはシャッターが降りていて、途方にくれる私の横を大きなネズミが走り抜けていった。遠くの方で人が割れた。
交差点の向こうにある映画館で「KIDS」という映画がかかっていた頃、そこでバイトしていた先輩に「走りたくなるよ」とおすすめされたことを思い出す。私は未だにその映画を見ていないのだけど、今の私が見ても走りたくなれるだろーか、と考えていたところで無事、打ち合わせの相手が現れ、13時には夏休みが始まった。

夜、アースの挟み方について連絡しあっていた友だちと、翌日お昼ご飯を食べる。おしぼりがいいにおいだね、ミントかな、でもレモンぽい、などということを話しあい、その後近所で買い物をして別れる。彼女がずっと探していた網状のものについて、夜写真を送ってもらい、なるほどこれは便利そうだなと納得する。そして、こんなふうに見たものを送りあえるっていうのは便利なもんだなと改めて思う。

まとめて日記を書いていたらいつのまにか午前が終わってしまい、あわてて部屋を片付けて駅前に向かう。
何年経っても、1回に1エントリだけをあげるのは何か気恥ずかしくて、ついつい書きすぎてしまうのだけど、何でそんなにたくさん日記を書くの、という質問にはいつもうまく答えられない。好きだから、楽しいから、記録したいから、だけじゃなくて、たぶん何かいいたいことがあるんだろうけど、いつもその周辺をぐるぐる回ってるような気分だ。

妹と、最近できたドーナツ屋でお茶をする。私たち含め、店内にいる全員がiphoneを持っていて、流行ってるなあと思うけれど、イヤホンが刺さりっぱなしになってる私のだけやっぱり電話に見えない。
翌朝は遠出をする予定だったのだけど、夜には半分くらい無理なんじゃないかなという空気がただよっており、翌日はまんまと寝坊した。姉ちゃん背中焼けてるよ、という妹の指摘にちょっとへこんで、日焼け止めについて語りながら朝ごはんにきんぴらと野菜炒めを食べる。そうしているうちに昼になり、結局、近場の動物園に行ってビールなど飲む。

関西から帰ってきてる地元の友達と連絡をとる。ほとんど1年ぶりくらいだったので楽しみにしていたのだけど、翌日になって風邪をひいたという連絡がきて、結局流れてしまった。
待ち合わせまでの時間をつぶしていた地元の喫茶店は、相変わらず入店しても誰も反応しないのに、不思議と席についたことはちゃんと把握しているようで、注文はすぐにききにきてくれる、という絶妙な距離感で落ち着く。
まだ日は高いし、どうしようかなあと考えていたところに、ちょうど連絡がきた別の友だちの車に拾ってもらって、ご飯食べて送ってもらう。少しだけうちにも寄ってもらったのだけど、「女っ気のない部屋だねえ」と言われて、まあそうかもねと思う。そういえば、この部屋には飾りっぽいものが何もない。

こないだ何もしていない、とか書いたけど、その他にも、夏休みであるところの先週には、楽しいこともたくさんあった。飲みたいなーというときに人を誘いやすいのも夏の醍醐味だよなと思いつつ、
月曜日は、気合をいれて少し早起きして、目を覚ますために冷蔵庫にあったアイスを食べた。まだちょっと、夏休みのような気がした。