センセイの鞄/原作:川上弘美 作画:谷口ジロー

センセイの鞄 1 (アクションコミックス)

センセイの鞄 1 (アクションコミックス)

川上弘美さんの小説は好きなものも多いし、出ている作品は大方は読んでいると思うのだけど、「センセイの鞄」だけは何度開いてみてもなぜかしっくりこなくて、読み進められないまま積んであった。
評判はよく目にしていたので気にはなっていたものの、映像化もされ、登場人物のイメージがついてしまってからは、もう読むことをあきらめてしまっていた。
でもこの本を本屋で見かけて買うことにしたのは、なにより谷口ジローさんが漫画化したっていうのが面白いなと思ったからでした。
センセイの鞄」は、よくいく飲み屋で偶然、学生時代の恩師と顔をあわせ、ちょくちょく隣り合って飲むようになる、というお話、というのがわたしの知っていたあらすじ。
孤独のグルメ」の印象が強いせいか、川上さんの描く飲み屋のカウンターを絵にしているところはすぐに思い浮かんだけれど、谷口ジローさんが描くなら、登場人物はごく普通の、どこかにいそうな人になるような気がした。そして、実際その通りの作品だったと思います。
川上さんの小説特有の「浮世離れした感じ」とは違うのだけど、登場人物みんな、どこか心ここにあらずな印象を受けるのがやっぱり川上弘美さんの小説っぽい。
機会があったらやっぱり原作も読んでみようかなあ、と思いました。あの鞄には秘密があるのかどうか、ちょっと気になる。