雨と箱

晴れてる日よりも、雨の日の方が少し景色がせまいような気がする。傘のせいだろうか。それとも単に、行動範囲がせまくなるからか。
朝起きてコーヒーを入れて飲みながら、これが「待望の温かさ」だ、と思う。そのくらい寒い。少しはれてる喉を越えて、まっすぐおりてく感じがする。ぼんやりと白い壁を見ながら、そういえば何ヶ月か前に、白い部屋で目が覚めて雨で、雨降ってるって起こされる夢を見たのを思い出す。
家を出て、離れるにつれて、よく思うのは、自分のもちもの詰めた箱を、背後に置き去りにしているみたいだなってこと。
そのちょっとしたこころもとなさは、どうしても必要なものをいくつか指折り数えてみれば、あっという間に遠くなる。たぶん。ってもう一度、雨の夢の感じ思い出して、でもひとつでも残って欲しいものがあるから、こころもとなさが消えないんだろーな、とも思う。まあ、そんなこと考えるのも、たぶん雨だからだ。