「雨無村役場産業課」2巻/岩本ナオ

雨無村役場産業課兼観光係 2 (フラワーコミックス)

雨無村役場産業課兼観光係 2 (フラワーコミックス)

面白かったー。
銀ちゃんが桜祭りの実現に向けてがんばる巻。なんかおいしかった余韻が残るのはメグの料理の話がちらほらでてくるからかな。読んでいて、登場人物たちの関係を信頼できる感じが、安心する。楽しかったです。
それから、この2巻には「しだいに明るむ君の暁」という前後編も収録されていて、これがまたすごく好きな話だった。
お話の筋はまっすぐじゃなくて、つかみ所がなかったりもするのに、教室の雰囲気とか、それぞれの考えていることとかが、場面がひとつひとつ印象に残る。岩本さんはほんとに、場所を描くのがうまいなーって思います。
それから、主人公の、夢と現実とでちょっとだけ違う、好きな男の子に対する態度になんだかぐっときた。夢ならうまくいくのになあ、っていう気分が、現実とつながってく様子が、ちゃんと地続きになっていた。

以下余談です。
ところで、1巻を読んだとき(id:ichinics:20080822:p1)や、天狗の子を読んでいるときなど、時折、岩本さんの描く「かわいい子」以外の女の子を見ていると、少女漫画で容姿について描くのって難しいことだな、とか思うことがある。
物語における、女の子の自らの容姿との付き合い方っていうのは、自分だけでなく周りとの距離感につながるようなところがあると思う。そして、そのキャラクターが周囲からどう見られているのかを解説する描写で、読者も(とりあえずは)作者の価値観で、その距離を把握してしまう。
「かわいい子」以外が主人公になる場合、多くはかわいくなるための物語だったり、かわいさを誰かに認められるお話に向かいがちだ。というのは、作者がそのキャラクターを主人公にした「理由」をつけようとするからなんじゃないか。
その、重力みたいなものを、上手く取っ払うことができてるお話ってあまり見ない。
見ないし、そこをあえて描くのはやっぱり難しいのかなーとも思う。
この雨無村の1巻を読んで、ちょっと複雑な気分になったのは、確か「元彼女」の描写についてだった。あれを、銀ちゃんの「理由」にしたら嫌だなあ、と思ったんだけど、2巻を読んだらそれはなさそうでよかった。

だらだら考えすぎたけど、ともかく続きが楽しみです。