南極物語に行きたかった話

先日も感想を書いた「flat」という漫画には、ひとりで家にいることが多くて、つい我慢をしてしまう「手のかからない」子どもであるところの「秋くん」が登場する。この秋くんがめずらしく懐いた相手が、主人公である平介なのだけど、
先日でた新刊を読みながら、私がこの漫画を読んで、平介には、ぜひ秋くんを大事にしてほしい、嫌わないで欲しい、と思ってしまうのは、もしかしたら自分の幼い頃を重ねて読んでしまうからなのかもしれないなーと思った。

私は「となりのトトロ」においては完全にサツキ派で、心がせまいようだけどメイのことはちょっと苦手だった。
ただ、その苦手、には若干のうらやましさが混じっていて、たぶんそれがぜんぶなんだと思う。
おんなじことを「はなまる幼稚園」の杏を見ていても感じてしまうのは(アニメは面白く見ています)、たぶん大人の注目が自分にあることをうたがわないその様子がうらやましいんだろうなーと、思った。すごく勝手なことを言っています。

私は4歳まで一人っ子だった。そこから立て続けに弟が2人と妹が生まれた。お姉ちゃんと呼ばれることが誇らしく、はりきってお手伝いをしたものだけど、その間に2度ほど親戚の家に預けられていた期間があって、そのときのことは、今思い出しても居心地が悪い。
前にも書いたことがあるけれど(id:ichinics:20071211:p1)、従兄弟の家に預けられていたとき、従兄弟と友だちが「南極物語」を見に行くと話していた日があった。いーなーと思いつつ、「○ちゃんもいく?」ときかれた私は反射的に「ううん」と首を振っていた。「そっかー」といって従兄弟たちはでかけていった。
後に残された私は、水槽のグッピーを数えながら、後もう1回誘ってくれたら行ったのになーとか思っていた。

私は、秋くんのようないいこじゃなかったし、長女だったことで特にさみしい思いをしたとかいうわけでもないのだけど、
ただ、「flat」という漫画を読んでいると、どうか、秋くんの気持ちが、報われますようにって、こんな年になってまで「南極物語行きたかった…」とか思っているようなひねくれた大人になりませんようにって、思ってしまうのだった。
3巻もとてもよかったです。

flat(3) (BLADE COMICS)

flat(3) (BLADE COMICS)

1、2巻の感想→http://d.hatena.ne.jp/ichinics/20100106/p2