ちょうど手持ちの本を読み終わったので、何かないかなと思って書店に寄った。ほんとうは別の文庫本を買うつもりだったのだけど、新刊の棚に平積みになっていたこれを手にとって、もう一度ぐるっと店内をまわってから、やっぱり買うことにした。
- 作者: 川上弘美
- 出版社/メーカー: マガジンハウス
- 発売日: 2010/04/22
- メディア: 単行本
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「クウネル」に連載されてたというのが関係あるのか、食べ物のことがよくでてくるのもよかった。繰り返しでてくる登場人物が少しだけいるのもいい。
でも何より、悲しいと楽しいや面白いが穏やかにくつっいて続いていて、特に結論しない感じが好きだなと思いました。
好きなものは、おむすびと、すみれちゃんの子供たちと、潮入さん。
ほかにもいくつか、すきなものはある。
少し曇った朝。
学校のチャイム。特にお昼休みが始まる時の。
バスの最後尾の座席。
きんつば。
水牛の群れをテレビの画面で見ること。
タイサンボクの花。
ほりごたつではないこたつ。
「少し曇った朝」p228
ついこないだ、自分が書いた好きなもの*1とひとつだけ重なっていてちょっと嬉しくなった。
特に印象に残ったのは、この本に2度でてくる、杏子という登場人物のこと。なんだか、長いこと良く知っている人のようで、たまに違和感を覚える言葉があるとほっとするくらいだった。物語を読んでこういう気分になるのは、自分にとってはとても珍しいことのように思う。
読んでよかったです。
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読みながら、渡辺ペコさんが漫画にしたら似合いそう、なんて思っていたんだけど自分の日記検索したら、「変身ものがたり」の巻末で川上弘美さんと対談してたことを思い出して腑に落ちたりもした。
あと、読み終えてみて、ぱっと浮かぶことがひとつあるんだけど、それが帯にかかれていたりしなくて本当に良かったと思う。