「エビスさんとホテイさん」/きづきあきら+サトウナンキ

エビスさんとホテイさん (まんがタイムKRコミックス つぼみシリーズ)

エビスさんとホテイさん (まんがタイムKRコミックス つぼみシリーズ)

ホテイさんが働く支社に、本社からエリートOLのエビスさんが転勤してくる。OL同士の、いわゆる「同調圧力」になびかないエビスさんは、支社で浮いた存在になってしまうのだけど、彼女が転勤をしてきた理由を知ったホテイさんは、いつしか彼女のことが気になるようになって…という物語です。
『つぼみ』という雑誌で連載されていた百合漫画…なのですが、あとがきにあった定義を読むと、「ほんのり」「恋と友情の間」「エロは抜き」らしく、そうなるともう、少女漫画とそんなに区別つかないかもなーと思ったりもしました。
というのも、この「エビスさんとホテイさん」は、先日感想を書いた『HER』(id:ichinics:20100714:p1)に収録されていたあるお話にとてもよく似ていて、そしてそれは少女漫画ではよく見かける構図だからです。『潔く柔く』のカンナとアサミとか、力関係は異なるけれど、『君に届け』の爽子とくるみも似たような構図だと思う。
『HER』の第5話では、「ホテイさん」の役割を持った女の子の恋人の友人としてエビスさん的な女の子が登場します。面白いなと思ったのが、フィールヤング誌のヤマシタトモコさんのインタビューで、この「ホテイさん」であり「くるみ」である側の女の子に対して「かわいそうだ」という意見が男性から多く集まったって話でした。
でもこれは別に、どっちがかわいそうとか勝ち負けとか、そういう話じゃないんですよねたぶん。実際「ホテイさん」側の女の子は恋人を奪われるわけでもないし、むしろその恋人なんて2人が出会うきっかけとしてしか描かれていない。
なんていうか、自分にないものを持っている相手と向かい合うっていうのは、この「エビスさんとホテイさん」がお互いに惹かれあうようなものと紙一重の、あこがれに近いのかもなーと思った。だから好きになるのか、嫌いになるのかは、またそれぞれだけど。