8月31日

高校生の頃、夏休みの合宿中につかっていた講堂にはマウンテンデューがあった。アンバサもあった。懐かしい! めずらしい! なんて大騒ぎして、「明日はアンバサ飲む」「じゃあわたしマウンテンデュー」とか言いながら、土ぼこりの舞う畑沿いの道を歩く皆の背中を少し後ろから見ているとき、自分はここにいていいんだろうかとか、そんなことを考えたりした。このままいきなりフィルムが切れて暗転して、眼が覚めるんじゃないか、とか、「あーしたはまず8時に起きてー」なんて歌いながら、少し気が遠くなる。
高校生の頃っていうのは、そんな風に、今がいつまでも続くわけじゃないということを、意識することがとても多かったような気がする。「卒業」はすぐそこにあって、でもまったく想像できなかった。
合宿最後の日、「じゃあまたね」といって皆が降りていった後の電車で、何度か手を握って、開く。
窓の外は夕焼けだったりして、おなかもすいていたりして、そろそろ自分の降りる駅に近づくとき、そんなことを思い出したりして、よし、と思う。