「っぱ」

週末は友だちとご飯。駅で待ち合わせをしていたのだけど、友人は仕事が終わらず、予約していた店でしばらく1人で飲むことになった。
連休前ということもあって店内は混雑している。両隣は女性二人組みで、奥の席には団体さん、カウンターには何組かカップルがいて、わたしはテーブル席でひとり、日本酒片手に、文庫本の中と、その場の気まずさを行き来していた。「きつねのはなし」を読んでいたせいか、何かにだまされてここにいるような気分になる。外には竹やぶが広がっていて、時折ざあっという風の音が聴こえた。

おかげで友人が到着する頃には少々酔っていたけれど、ご飯はおいしく、積もる話もあって、時間はあっという間にすぎた。
近頃会う人それぞれ「久しぶり」に感じるのは、地震を境に時間の流れ方が少し変わった気がするからかもね、という話をする。ゆっくりとかはやいとかじゃなくて、コマ落としみたいな感じ。でもなんか、何か忘れてるようで、落ち着かない。

帰り道、なんだかすごくのどがかわいて、ペットボトルのカルピスウォーターを一気に飲んでしまった。お腹がちゃぽちゃぽだ、と頭の中で言い、なんでちゃぽちゃぽなんだろうなと思う。お腹一杯、と、水飲みすぎてお腹一杯を、言い分ける方法ないのかな、とか、思いつつ眠り、翌朝ようやく「水腹」という言葉を思い出した。
実際に口に出して使ったことはない気がする言葉だけど、これから使っていきたいと思う。水腹。みずはらよりみずっぱら、って言いたくなるのはなんでだろう。