「メアリー&マックス」

監督:アダム・エリオット

オーストラリアに住む少女メアリーの、ふとした思いつきで送った手紙がアメリカのニューヨークに住む中年男性、マックスの元に届くところからはじまるクレイアニメーション作品。
性別も年齢も環境も異なる彼らを結びつけたのは、友だちが欲しいという願いでした。
メアリーの感じている孤独とマックスの感じている孤独はそれぞれの中にある問題に通じていて、それは「解決すべきもの」としては描かれていない。そして、辛いこともあるし、見ていて重苦しい気持ちになるような出来事も描かれるのに、彼らはそれぞれの環境を恨んではいないように感じられました。
それは彼らへの愛着へもつながるのだけど、でもだからこそ、見ていて少ししんどいというか、気持ちのもってきどころがよくわからなくなったりもしました。あと若干描写がグロテスクな部分もあって、特に金魚の話はもやもやした。
ただ、彼らの交わす手紙の内容は誠実であり、文字のやりとりから生まれる感情の描き方の細やかさはすばらしいと思った。
どちらかといえば、メアリーの目線の物語なのですが、マックスの抱いていた気持ちをそっと差し示すようなラストシーンもよかったと思います。
欲を言えば、「友だちは選べる」という教訓のようなひとことはなくてもよかったような気がする。あくまでも偶然ではじまったものを、お互いに大切にしたという継続のほうがずっと特別だったように思う。