「女の穴」/ふみふみこ

女の穴(リュウコミックス)

女の穴(リュウコミックス)

すごく面白かったです。
帯には「えろ乙女ちっく」とありますがそこにちょっと、おすすめしたい相手を想定して言葉を追加するなら、えろ乙女ちっくSFという印象を受けました。
ひとつの学校を舞台に、3人の女の子たちのお話が収録された短篇集です。ごく普通の女の子たちなのだけど、それぞれに広がる背景は深い穴のように広がっていて、得体がしれないのだけど読み終えたときにはより魅力的に見える。彼女たちの「正体」は読んでみてのお楽しみですが、この作者の描く女の子たちが私はとても好きだと思いました。
特に、表情の描き方がいいです。何か大事なことを思う瞬間の無表情が、物語のテンポとしても重要な間になっていて、女の子の恐ろしさとかわいさが同時にあるのがたいへん魅力的だなと思いました。体の線のやわらかさもいい。

twitterでどなたかが市川春子さん、西村ツチカさんと同時に名前を挙げられていて気になったのですが、読み終えてなるほどと思うところはあるものの、それよりずっと「とっつきやすい」漫画だと思います。個性的なんだけど、わかりにくいところがないのがすごい。
今後の活躍がとても楽しみです。できるだけ早くもっと読みたい!