ミッション:8ミニッツ

監督:ダンカン・ジョーンズ

見てきました。面白かった…!
月に囚われた男」のダンカン・ジョーンズ監督作だということと、twitterのTLでおすすめしていただいたことをきっかけに見に行ったのですが、ほんと見てよかったーと思いました。
前作「月に囚われた男」(id:ichinics:20101018:p1)は、映画を見ながら「私」がどこにあるのかということを考えさせられる映画だった。たぶん、見る人によって、それが違うのだろうなと思うところも面白かった。この「ミッション:8ミニッツ」はそれを一人称視点で見たときに浮かび上がる疑問というか“可能性”を描いた物語だったように思います。
なるべく予備知識なしに見たほうが面白いと思うのですが、そういったテーマのSFが好きな方にはぜひおすすめしたいなと思いました。
あと「月に囚われた男」は低予算で制作されたことでも話題になりましたが、この「ミッション:8ミニッツ」も、お金をかけるべきところと、かけなくても表現できる部分というのを非常に冷静に判断している感じに好感をもちました。

ちなみに「映画通ほどだまされる」ってCMの映画だっていうことを見終わってから知ったのですが、特にそういう内容ではなかったような気がします。
【以下、内容に触れています。】
シカゴで起きた列車爆破事故の犯人を見つけるために、被害者の死ぬ直前の8分間の脳内に送りこまれる、スティーヴンスという米軍兵士の物語。と言葉で説明してもなんのことやらですが、ここをスマートに説明し、謎の余白を残すところがすごく上品だなと思いました。
映画は、その8分間を繰り返しながら、爆破テロの犯人探しと、なぜスティーヴンスがその任務についているのか、という2つの謎がだんだんとあかされていく構成になっています。
8分間の過去を何パターンも繰り返すというところで、思い浮かぶのは「シュタインズ・ゲート」なのですが、シュタゲでいう世界線を越えるという目的の他に、この物語の場合は、主人公の置かれている状況というもう一つの謎があります。
それがあることによって生まれるラストの展開はとてもぐっときたし、そこで大事な役割を果たす「グッドウィン」という女性の描き方もとてもよかった。
このグッドウィンの存在は「月に囚われた男」でいうガーティのようなもので、主人公の知らないことを知っているからこその複雑な表情がとても魅力的でした。

最終的に、物語は視点のあるところに収束するのだけど、それだけでない様々な可能性について触れて終わるのもとても好みです。
面白かった。